【明治安田生命J1リーグ 第18節 浦和レッズvs湘南ベルマーレ 2021年6月20日 19:04キックオフ】
思わず目を疑ってしまった。
試合は湘南の1点リードで後半アディショナルタイムに突入していた。
そのアディショナルタイムもおそらくはあと1分もなかった。杉本健勇を投入し、さらに槙野智章を前線に上げてパワープレーに移行していた浦和の攻撃を湘南が必死に跳ね返すと、そのボールは湘南ベンチのほうへと転がっていった。
すると、ベンチ前にいた浮嶋敏監督が小走りにボールの方へと向かった。そしてタッチラインを割ったボールを拾い上げ、リスタートを急いで駆け寄ってきた浦和の選手に手渡したのだ。
湘南のサポーターでなくとも、何をやってるんだ、と思う光景だった。
先制され、追いつき、勝ち越され、再び追いつき、そしてついに87分に逆転したギリギリの勝利を目前にして、どうしてそんなことができようか。
ボールを触らずにスルーしたり、拾い上げて別の方へポイと投げ捨てたり、そういうことをして時間をかけさせるのではなく、なぜ自らリスタートを急ぐ相手に協力する必要があるのか。信じられなかった。
案の定、1分も経たずに試合終了のホイッスルが響いた。
浮嶋監督は、ガッツポーズを見せて勝利の味を噛み締めていた。