■徐々に疲れさせていった鹿島の精神力

「仙台さんの狙ったゲーム展開になってしまった」

 試合後、相馬直樹監督がこう振り返ったように、仙台は鹿島の攻撃をしっかりと引き込んだ。ただ引いていただけではないことは、鹿島の攻撃の手数が示している。「相手のブロックの脇のところからしっかり進入していく。そこでやり直す回数が多すぎる」と相馬監督が反省したように、鹿島がボールを保持しても仙台の危ないところはすべてカバーしていた。そのため、レオ・シルバやピトゥカといった選手が作り直しを余儀なくされ、その間に仙台の守備はさらにポジションを整える。ただの引きこもりではなく、鹿島の精神を徐々に疲労させていった。

 仮に鹿島が決定機を作っても、ゴール前にはリーグ戦初先発のGKストイシッチが待ち構えた。ヤクブ・スウォビィクに代わって入ったセルビア人GKは、小畑裕馬を押さえてスタメンを勝ち取っただけに、ビッグセーブを連発。仙台のGKのレベルの高さを見せつけた。

 カウンターになれば、その鋭さが牙を向いた。真瀬拓海がペナルティエリアに侵入した場面のように単騎駆けと組織的に繰り出す場面との使い分けが利いていた。前半のスコアは0-0。アウェイチームとしては、後半につなぐことのできる展開だったはずだ。

 そして、仙台が勝負を仕掛けたのは61分のこと。一気に3枚替えを敢行したうえで、4バックから3バックに変更。「鹿島には5(枚の最終ライン)で準備しなければいけないというのは、前半の途中から描いていた」と話したように、自ら動いて見せた。

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