■強いフィジカルと大きなスケール
酒井のプレーの特徴は、なんといってもそのフィジカル的な強さを生かした日本人離れしたプレーだ。183センチ、70キロと、サイドバックとしてはかなりサイズがあり、かつてはセンターバックとしてもプレーしていた時期もあり、当たりにはめっぽう強い。
そして、FIFAクラブ・ワールドカップで注目を集めたのが、右足から繰り出される強力なクロスボールだった。
もっとも、当時の酒井は強力なクロスはあるもののそのクロスの正確性には難があったし、小技が効く選手にも見えず、「粗削り」という表現がピッタリの選手だった。その後、ヨーロッパのクラブで多くの経験を積んで、今では戦術的な能力も大いに高まっているが、フィジカルやパワーが特徴であることには今も変わりがない。
酒井と同世代の右サイドバックで、日本代表でもポジション争いを繰り広げたのが内田篤人だった。
相次ぐケガに悩まされた内田はすでに引退しているが、内田は酒井より2歳年長なだけだ。
その内田は、酒井とは違って繊細なイメージの選手だった。内田の最大の武器であるファーストタッチは実に繊細かつ正確なものだった。また、サイドハーフとの関係など内田は考え抜いた理詰めのプレーをする選手だった。
これに対して、酒井の魅力はフィジカルな強さであり、またスケールの大きさだ。
酒井はマルセイユでそのプレーヤーとしてのピークの時期を過ごしたのだが、それは酒井のそうしたプレー上の特徴がリーグアンにうまく適合していたからだったのではないか。