浦和・酒井宏樹「J復帰」のインパクト(1)「内田篤人との比較」で際立つ規格外スケールとパワーの画像
日本代表・五輪代表でも活躍する酒井宏樹 写真:JFA
【画像】酒井宏樹加入後の浦和レッズ布陣図

規格外の右サイドバックが帰ってくる。J1リーグにデビューした年に早くも世界から注目を集めて、優勝を置き土産に翌シーズン途中にドイツに旅立った男。フランスの港町のクラブに定住の地を見出すと、風の便りにその活躍は伝わって日本代表に召集、2018年のロシア・ワールドカップでは、4戦すべてに出場してベスト16に貢献した。酒井宏樹の復帰は、浦和レッズというクラブはもちろん、リーグ全体に大きな影響をもたらすかもしれない。

■キックオフ直後に名刺代わりの強烈タックル

 6月12日に豊田スタジアムで行われたU-24日本代表対ジャマイカ代表の強化試合。開始直後にこんな場面があった。

 ジャマイカが左サイドにボールを出した瞬間、日本の右サイドバック酒井宏樹が深くて激しいタックルを見舞ってボールをタッチラインに蹴り出したのだ。一瞬「カードが出るんじゃないか」と思ってしまうほど強烈な“一発”だった(実際には、正確にボールをとらえた正当なタックルだった)。

 試合開始のファーストプレーで激しく当たって相手に対してメンタル的に優位に立つためのプレーだったのだろうが、それはまるでU-24世代の若い選手たちに対して「守備というのはこのくらいの覚悟で行くんだゾ」と檄を飛ばすようなプレーだった。

 実際、その後は日本の若い選手たちも前線から厳しい守備を続けて、ジャマイカを完封することに成功した(ジャマイカのシュートは0本)。

 実力的には日本が上で90分を通して日本がコントロールした試合だったが、ジャマイカはフィジカル面では日本を上回っていて、それなりに厳しい相手だった。そんな中で、フィジカル面でもまったく見劣りのしない酒井宏樹のプレーは頼もしい限りだった。

 U-24日本代表は7月の東京オリンピックでは南アフリカ、メキシコ、フランスと対戦する。アフリカ系のスピードとフィジカルを武器にした選手が多数いることを考えれば、酒井の存在は頼もしい限りだ。

 5シーズンにわたってフランス・リーグアンの強豪オランピーク・ド・マルセイユで活躍した酒井にとってはアフリカ系の選手に対する対応はお手の物だろう。

 その酒井宏樹が浦和レッズに移籍することが正式に決まり、6月14日にはオンラインで入団会見を行った。

 酒井は、マルセイユとの契約が2022年まで残っているので浦和は約2億円と言われる違約金を支払っての本格的な移籍になるという。

 今では日本人選手が数多くヨーロッパのクラブに移籍しているが、現役バリバリで、クラブでも地位を確立している選手がJリーグに復帰するのは珍しいことで、その意味でも注目される移籍である。

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