神戸対浦和の「理不尽さこそサッカー」(2)戦術家・ロドリゲス監督の「コンセプト変更」の画像
良いクロスを供給し続けたヴィッセル神戸の初瀬亮 撮影/原壮史

※第1回はこちらから

サッカーの醍醐味を堪能したゲームだった。6月6日の日曜日に神戸ノエビアスタジアムでおこなわれたJリーグYBCルヴァンカップ、プレーオフステージ第1戦は、90分間攻め続けたヴィッセル神戸を、じっと耐えながらチャンスをうかがい続けた浦和レッズが逆転で破って勝利をものにした。すぐ一週間後の6月13日に、第2戦が浦和駒場スタジアムで行われる。どちらもまったく違った戦い方をしてくることになるだろう。どんなドラマが待っているのか――。

■チャンスを活かせず2点目が遠い神戸

 その後も、神戸はビッグチャンスを作り続ける。

 山口は右サイドでかなり高い位置を取ることができる。そして、右サイドに顔を出す山口と酒井との元日本代表コンビの絶妙のパス交換がいくつものチャンスを生み出した。最終ラインの菊池や大﨑も意識的に右サイドに早いタイミングでパスを送り続ける。

 一方、左サイドではイニエスタの正確無比のパスが浦和の守備陣を切り裂いた。18分には山口が浦和のゴール前に走り込んだところにイニエスタが正確なピンポイントのパスを合わせたが、残念ながら山口のシュートは浮いてしまった。

 開始早々に1点リードした上、その後も浦和の攻撃を完全に封じ込めながらチャンスを作り続けるという理想的な展開に、ホームの神戸のサポーターも手拍子で応えて、スタジアムは良い雰囲気に包まれる。

 だが、クロスがほんの少しだけ流れて浦和のGK西川周作にキャッチされたり、アユブ・マシカのシュートが枠をとらえられなかったりと、神戸は数多くのチャンスを作りながらも、どうしても「2点目」を決めることができなかった。

 サッカーの格言にはこんなものもある。

「決める時に決めておかないと罰を受ける」

 そして、この試合もまさにその通りの展開となっていくのである。

  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4