■バイエルンの悲劇となったマンUの3冠達成
CL決勝では、鮮やかな逆転勝利も多い。わずか5分間で3点を返して追いつき、PK戦でタイトルをもぎ取った2004-05シーズンのリバプールもその一つだ。敗れたミランとしては、忘れ去りたい苦い記憶だろう。
衝撃度でナンバーワン候補に挙げられるのは、1998-99シーズン決勝だ。何しろ、タイトルの行方が決まったかに見えていたアディショナルタイムの3分間で、運命が逆転してしまったのだ。
バイエルンはマンチェスター・ユナイテッドから開始早々に奪ったリードを、「90分間」守った。だが、目安が3分と表示されたアディショナルタイムに悲劇は起きた。91分に、GKピーター・シュマイケルも攻め上がったマンUのCKからテディ・シェリンガムが同点ゴールを決める。
さらに2分後、またも獲得したCKで、デイビッド・ベッカムがゴール前へボールを送ると、最後はオレ・グンナー・スールシャールが逆転ゴールを蹴り込んだ。その瞬間、バイエルンDFサミュエル・クフォーは激しい怒りをあらわにした。
マンチェスター・ユナイテッドにとっては、見事な3冠達成だが、バイエルンにとってはこの上なく悔しい敗戦だった。昨季の大会も制し、歴代3位タイの6度のCL優勝を誇るバイエルンだが、決勝での敗戦も5回味わっている。多くの汗と涙を乗り越えた者だけが、栄冠をつかめるのだ。
今季の決勝では、どんなドラマが生まれるだろうか。