■後半に選手交代で盛り返したが…

 それならばと後半開始15分後に2枚替えを行ったが、当初左サイドに配された長澤和輝は不慣れな仕事場に戸惑っている様子だった。73分には今季初めて2試合連続で先発を外れていた山崎凌吾を送り出し、ようやく勢いが出てきた。体を張ってボールを修められる山崎が入り、全体が前がかりになったこともあり、選手同士の距離が近くなって連動が生まれる。

 山崎が入った2分後には、こぼれ球を縦に素早くつないで、齋藤学のスルーパスから柿谷曜一朗が惜しいシュートを放った。きっかけとなったのは、吉田豊の相手への鋭い寄せだった。吉田が前半から見せていた、強度の高い守備がようやく実った。

 79分には、細かい1タッチのつなぎから、右サイドバックの成瀬竣平がゴール前に顔を出してシュートを放った。だが、結局ゴールは生まれなかった。

 0-0で試合を進めて、終盤に虎の子の1点を奪うことも少なくない名古屋である。フィッカデンティ監督は「予想通りのゲーム展開になった」と話したが、勝利に至る道筋は、残念ながらよく見えてこなかった。

 スコアレスドローに終わるのは、今季3度目となる。この引き分けで、首位川崎フロンターレとの勝ち点差は「12」に広がった。

 タイトルは転がり込んでくるものではなく、つかみにいくものだ。そのためには勝たねばならず、勝つためにはゴールとボールの奪いどころを見極めなければならない。

 そう考えると、この試合の名古屋はやはり、勝利に値しなかった。そういう試合においては、要領を得ないフィッカデンティ監督のコメントは、妥当なものだったのかもしれない。

■結果 徳島ヴォルティス 0-0 名古屋グランパス

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