後藤健生の「蹴球放浪記」連載第59回「ポーランド人と日本人」の巻の画像
ポーランド・ウクライナで開催されたEURO2012のADカード 提供:後藤健生
全ての写真を見る

もうすぐ、UEFAヨーロッパリーグ2020-21の決勝が、ポーランドのグダニスクで行われる。5月26日(日本時間は27日早朝)、会場はスタディオン・エネルガ・グダニスクだ。ポーランドの人といえば、ベガルタ仙台でスーパーセーブを連発しているGKのヤクブ・スウォビィクがすぐ思い浮かぶ。さて、放浪するジャーナリストはポーランドに親近感を抱いているようだが、その理由とは――。

■耳を疑った列車内のアナウンス

 僕は、初めは何か聞き間違えているのかと耳を疑いました。「列車の到着が5分遅れまして、大変に申し訳ありません」と言っているように聞こえるのです。

 日本でならごく当たり前の、聞き慣れたアナウンスです。

 しかし、日本以外の多くの国では列車の遅れなどはいつものこと。「5分の遅れ」で謝罪するなんて、ありえへんことでっしゃろ?

 イタリアなどでは列車の遅れに何度泣かされたことでしょう。フィレンツェ方面からミラノ方面に向かう列車がアペニン山脈の真ん中の小さな駅で止まってしまいました。ナポリやシチリアなど南イタリアからやって来る特急列車が2時間遅れ、3時間遅れになっているので、その通過を待つのです。取材の約束などがあると「いつまで止まっているんだ?」と気が気ではありません(とくに、携帯電話もなかった時代には……)。

 つまり、列車の遅れなどはあまりにも当たり前のことなので、誰も気にも留めないものなのです。いちいち嘆いたり、怒ったりしていたらストレスで寿命を縮めてしまうでしょう。

 それなのに、その英語でのアナウンスは確かに「5分遅れて申し訳ない」と言っているのでした。

 それは、ポーランド北部の人口約50万人の都市グダニスクの中央駅でのことでした。

PHOTO GALLERY 全ての写真を見る
  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4