■現時点で見せる戦術的な柔軟性

 では、ザーゴ鹿島と相馬アントラーズではいったい何が違うのか。まず挙げられるのが、切り替えの早さだ。ザーゴ前監督も重要視していた部分ではあるが、今季はここでパワーを見せられなかった。たとえばこの横浜Fマリノス戦は、相手が強く来るチームということもあってか、そこでの切り替えはとても速かった。

 また、先述の柔軟性も挙げられる。この試合では、前半は横浜Fマリノスが求める“激しい展開”に引っ張られて相手にペースを与えてしまった部分があった。マリノスとしては、オープンな展開に相手を引き込むことで、そのスピード感の中で優位性を保ちたいという狙いがある。しかし、それを逆手に取って、後半は裏を突いていった。相手のプレスが激しく来ることから、引き寄せてスペースを作ることができていた。

 さらに言えば、前節の名古屋戦では今節とは異なるスターティングメンバーで戦った。名古屋戦と横浜Fマリノス戦の両方で先発したのは5人。過密日程の中を考慮して選んだことはもちろんだが、半数以上が変わる中で、戦い方も変えた。鹿島では右サイドバックで起用されることの多かった小泉慶をトップ下で起用。もともとはボランチの選手だった小泉を1トップの土居聖真の下で使うことで、その運動量で前線に繰り返し飛び出すのと同時に、前線での守備で相手に“圧”を感じさせたのだ。

PHOTO GALLERY ■【画像】横浜Fマリノスと対戦した鹿島アントラーズの写真全70枚■
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