■5月4日、駆け引き以上に重要なこと

 さて、川崎と名古屋は中4日をはさんで5月4日には川崎ホームで再び対戦する。リーグ戦としてはまったく異例の日程だ。リーグ戦とカップ戦で2つのチームが連戦となることはよくあるが、リーグ戦の試合が連戦となるなど前代未聞。しかも、4月29日にも、5月4日にもJ1リーグはこの川崎と名古屋の1戦のみとなる。J1リーグは、まだ日程の3分の1程度を消化しただけなのだが、両クラブの連戦はまるで「決勝戦」のような日程になっているのだ。

 その決勝戦の“ファーストレグ”で大敗を喫した名古屋は、リターンマッチではどのように戦えばいいのだろうか? まずは、メンタル的に初戦の大敗のショックを振り切ることが大事だろう。ただ、この間のトレーニングはフィッカデンティ監督が直接指揮できないだろうから、そのメンタル的な影響が心配なところだ。

 そして、名古屋はどのようなゲームプランを選択するのか?

 守備を厚くして守り、数少ないチャンスをものにして「ウノゼロ」を狙うのだろうか? それとも川崎の数少ない弱点である最終ラインを狙って積極的に攻撃を仕掛けるのか……。

 一方、第1戦で大勝した川崎としてもどういう戦いを選択するのかを考えなければならない。“ファーストレグ”と同じように、再びキックオフ直後からインテンシティの高い試合をするのか? それとも、軽快なパスをつなぐサッカーに戻るのか?

 お互いの手の内の読み合いとなるだろう。どちらのチームにも言えることは、4月29日に90分間戦ったことによって、選手たちが相手のチームの特徴、選手個々の特徴を肌感覚として知っている点だ。これは、どんな精緻な映像でも得られない貴重な情報であり、その分、さまざまな駆け引きが生まれることだろう。

 ただ、相手の出方を読んでの駆け引きも重要だが、それ以上に自分たちがどういう戦いをするのかという意図を明確に持って、それをピッチの上で表現することが何よりも重要になる。そう、豊田スタジアムでの試合の前半に川崎が見せてくれたように、である。

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