【J1分析】名古屋vs川崎のGW2連戦(2)中4日での「5月4日」再戦に向けての画像
名古屋は5月4日にリベンジを果たせるか 撮影/中地拓也

J1リーグの首位を走る川崎フロンターレと追走する名古屋グランパスの中4日の連戦。4月29日は川崎の圧勝でファーストレグを終えた。しかし、スコアに表れるほどに、その差は大きくなさそうだ。フロンターレの強さはどれほどなのか。勝負を分けた最大の要因は何か。静かなスタジアムに響き渡る、キックの音色を手掛かりに探った——。

■リードした川崎が余裕のギアチェンジ

 早々に3点をリードされた名古屋は、30分という速い時間に交代カードを2枚切った。

 トップの山崎に代わってMFの長澤和輝を入れてMFの人数を増やすことによって中盤でボールを持つ時間を長くすることが一番の目的だったのだろう。たしかに、それ以後、名古屋がボールを握る時間が増え、それによって30分の交代で右サイドバックに入った成瀬竣平と左の吉田豊が攻撃に出る時間を作ることができるようになった。高い位置に張った成瀬の右足の強烈なクロスが何度か川崎ゴール前まで入るようになった。

 交代によって、なんとか立て直しができたような印象を受ける。だが、名古屋が交代カードを切ったことの影響以上に、川崎の戦い方が変わったことによる影響の方が大きかったのではないか。

 川崎はキックオフ直後から非常に高いインテンシティで戦った。速くて深いパスを駆使して攻め、前からの強烈なプレッシャーをかけて名古屋の攻撃を封じ込めた。だが、当然、そんな強度の高いプレーを90分間続けることはできない。

 そこで、3点リードした後、川崎は戦い方を変更した。とくに名古屋が交代カードを2枚使って攻撃の形ができはじめた後、川崎は本来の川崎らしいショートパスをポンポンとつないで相手をいなすような攻め方に切り替えたのだ。これによって、川崎は再びポゼッションで上回った。

 川崎が最初からそういう攻め方をしてくれていれば、名古屋の守備陣はそう簡単に崩されなかったことだろう。だが、前半20分過ぎまでのインテンシティの高い川崎の攻撃を名古屋は想定しておらず、そしてその間に3点を失ってしまった。

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