■「ゴール数はどうでもいい」
「選手たちは前向きなプレーを見せてくれていた」。相馬直樹監督は、そう選手たちを称えた。決定機を決め切れないなど、まだ足りないところはあるものの、若手が醸し出す「鹿島らしさ」は見えつつある。
そして、スピリットのみならず、能力があることも間違いない。上田のゴールは見事なものだった。三竿健斗がボールを持った瞬間の、ボールを懐に呼び込むスペースをつくる動き出しと、ゴールに向けてボールを置く柔らかなタッチ。あの一瞬の判断とプレーの冴えのおかげで、初めて追う展開になりながら、相馬体制は公式戦無敗を継続できたのだ。
上田はこれで、リーグ戦ここ4試合で3得点。それでも試合後、22歳のFWは「数はどうでもいいと思っている。こういう試合で勝たせられなければいけないと思う」と、表情も変えずに語るのだった。ゴールの瞬間だけは、痛みを忘れたかのように、激しく右腕を振るってボールに食らいついた男が。
鹿島の深紅のユニフォームを着る男たちには、やはり脈々と受け継がれていくものがある。
■結果
鹿島アントラーズ 1-1 ヴィッセル神戸
■得点
28分 古橋亨梧(神戸)
64分 上田綺世(鹿島)