■終了間際の同点弾で新潟が勝点1をゲット!
琉球と並んで8戦無敗で首位に立つアルビレックス新潟はどうだったか。栃木SCのホームに乗り込んだ一戦は、スリリングな展開となった。
新潟は1トップの鈴木孝司、2列目右サイドのロメロ・フランクを欠く。鈴木は前節から、ロメロ・フランクは前節途中に負傷交代した。攻撃のコアメンバーが離脱しているなかで、存在感を見せつけたのはMF矢村健だ。
8分、トップ下の高木善朗が右サイドからクロスを供給すると、ゴール前の矢村が右足オーバヘッドでゴールネットを射止めた。その後の展開で新潟に立ちはだかる栃木のGK川田修平も、この場面はどうしようもなかった。
4月の月間ベストゴールが決定したと言ってもいい矢村の一撃には、アルベルト・プッチ・オルトネダ監督も「おそらくは今シーズンのもっとも素晴らしく美しいゴール」と評価した。ロメロ・フランクに代わって2列目右サイドを任された背番号39が、決勝点をあげた前節に続いて存在感を猛烈にアピールした場面である。
先制点は開幕から9試合連続となる。しかし、4節から5試合連続負けなし(3勝2分)の栃木に、ここから苦しめられることになる。田坂和昭監督率いるチームが得意とするリスタートから、24分に同点弾を喫する。後半に入った56分には、左サイドを崩されて2点目を決められてしまった。
追いかける展開は今シーズン2度目である。SC相模原に後半開始早々にビハインドを背負った6節は、61分に2対2に持ち込んだ。
この日はなかなか追いつけない。前線からのハイプレスと高強度のバトルを持ち味とする栃木に対して、パスをつないでいく本来のスタイルを貫きつつも中長距離のフィードを交え、相手の背後を突いていこうとする。77分にボランチの島田譲を下げて星雄次を投入すると、高宇洋の1ボランチに代えて攻撃の圧力を強めた。
栃木のゴールをこじ開けたのは、後半アディショナルタイムだった。90+2分、星の右CKからセンターバックの千葉和彦がヘディングシュートを決めたのだ。
開幕戦以来の得点をあげた千葉は、「栃木が前から来るのはスカウティングで分かっていたのですが、なかなかうまいように外せず、対策されたなかで厳しい90分でした」と振り返った。先制点をあげた矢村は、「最後の最後に勝点ゼロから1へ持っていけたのは、去年に比べての成長。とらえかたはいろいろあるけれど、最低限の勝点1はとれた」と評価する。
ミッドウィークのアウェイゲームで敗戦を免れたのは、アルベルト体制2年目の成長であり進化と言えるはずだ。