■「ラインの間で受けろ!」

 前半を2-0で折り返した鳥栖だったが、後半は厳しい展開になった。ホームで連敗を避けたいFC東京がシステムを変えて猛攻を試み、それを受け止める形に。53分に森重に1点を返され、後半はシュートに持ち込むこともできない状態となったが、粘り強く守って勝ち点3をゲットした。東京戦の前まで11試合4得点という堅守の経験が、味の素スタジアムで生きたのだ。

 実は、FC東京と鳥栖の相性は、目下、悪くない。この勝利で首都チームに現在4連勝中。昨年はアウェイで0-3、ホームで2-3と2試合で6得点を奪っていた。前節の名古屋に続いて、優勝を狙う2チームから白星を連続で奪ったことになり、3位につけるチームに自信を与える結果となった。

「前半は思いどおりゲームプランを遂行できて、後半は押し込まれる展開が続きましたけど、選手たちが粘り強く戦ってくれた」

 試合後に鳥栖イレブンをこう称えた金明輝監督が、この試合中、最もピッチに向かって叫んだ言葉は「ライン」だ。「ラインの間で受けろ!」などと選手に細かく指示。指揮官の狙い通り、FC東京の選手と選手の間でボールを受けた選手たちは、最初の45分のピッチを見事に支配してみせた。後半開始時点でFC東京が選手2人を交代したのは、鳥栖が主導権を握った何よりの証拠だ。そして押し込まれた後半も、鳥栖にとっては大きな経験値となる。

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