■オフサイド判定の特殊性

 テクノロジーの活用がすでに定着しつつあるのが「ゴールライン・テクノロジー」である。

 これは非常に“機械向き”の判断だ。つまり、ただ単にボールがゴールラインを越えたか否かを判定すればいいだけだからだ。人間には一瞬のことで、ボールの動きが速すぎると認識できないことがあるが、機械はそれを見逃さない。そして、そこにはタイミングの問題もないし、また選手の意図も関係がない。「ボールがラインを越えた」という事実さえ判定できればいいのだ。

 だが、オフサイドの判定の場合には「その選手がプレーに関与したかどうか」という非常に判断が難しい問題が関わるのだ。これもAIによってある程度は自動判定が可能かもしれないが、最終的には人間(ピッチ上の主審およびVAR)が判断するしかない。逆に、どんなに微妙な場合でも、審判員は責任を持って速やかに判断を下さなければならないのだ。その決断ができないままズルズルと判断を伸ばしていると、最終的な判定まで3分30秒以上かかってしまうわけだ。

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