■鮮烈に記憶にに凝っている8年前のゲーム

 私はかつて城福監督のチームが似たような形で、格上と引き分けたゲームを憶えている。

 昇格直後のヴァンフォーレ甲府を率いて埼玉スタジアムに乗り込んだ、13年9月21日の浦和レッズ戦。

 8年前のゲームをいまだに憶えているのは、城福監督が巧みな試合運びで戦力の差を埋めたからだ。

 甲府は、守備的な布陣で前がかりの浦和を迎え撃った。それは手薄になった敵の背後を突くためだ。広大なスペースに、あえてラフなボールを蹴り込み、弾んだところにFWパトリックを絡ませる。それだけで浦和は混乱。多くのチャンスが生まれ、終了間際にパワープレーから同点ゴールが生まれた。

 直近の川崎戦といい、8年前の浦和戦といい、格上のチームと相対したときの城福監督は油断ならない。限られた手駒の力を大きく引き出し、かつ敵の裏をかくような巧妙な試合運びをする。

 城福監督は、自分の色をチームに反映させられる指揮官。こういう監督は、日本では多くはない。

 上位陣にとって、広島戦は厄介なものになりそうだ。

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