■勝利への強いこだわり
「城福監督らしいゲーム」というのは、この試合の端々に勝利への強いこだわりが見え隠れするからだ。
それはしぶとさと戦略性という、ふたつの言葉で表現できる。
前半の広島は自陣に押し込まれ、防戦一方となったが、それでも激しい抵抗を見せた。
例えば対人に強いCB今津が容赦なくレアンドロ・ダミアンを潰しにかかり、27分に警告を受けながら一度もシュートを撃たせなかった。
密集で確実にボールを収めるダミアンを抑え込めば、三笘や家長の攻撃力も減退する。
城福監督は選手一人ひとりをタフに戦わせるだけでなく、同時にしたたかな戦略で勝点を引き寄せる。
そのひとつが、ゴールに結びついた速攻だ。
前述したように、同点弾はGK大迫のパントキックから生まれた。
つまり、川崎自慢の高い位置でのボール狩りを無力にする形で、ゴールに到達した。
滞空時間の長いハイパントではなく、足もとにつけるライナーを配したことで、サントスは得意のドリブルで仕掛けられ、川崎の戻りは完全に遅れた。
このチョイスは非常に理にかなっている。