■得点前にも頭で合わせていた西村拓真
この得点を決める2分前にも、右サイドからマルティノスが上げたクロスに頭で合わせていたが、相手選手に当たってゴールを阻まれていた。そうしたうっ憤を晴らすゴールを決めた西村は、喜びに浸ることなくすぐに自陣に戻った。あくまでも目指すのは勝利だったからだ。
勢いづいた仙台は、さらに横浜FCゴールに攻めかかる。得点後の後半アディショナルタイムには、上原を下げてアピアタウィア久を入れた。MFを下げてDFを入れるのは一見すると守備的に見えるが、191センチというその長身を、セットプレーやパワープレーで生かそうとする意図があった。そして、それが当たる。
この交代と前後して獲得した左コーナーキックで、今度は吉野恭平がゴールを決めたのだ。このコーナーはオッティのドリブルから得たもので、左サイドの攻撃がやはり仙台の光明となった。このゴールは一度はオフサイドの判定となったものの、VARによって無事に認められ、見事に追いついて見せた。
試合はこのまま終了し、逆転することはできなかった。欲しかった勝ち点3は、手にすることができなかった。それでも、敵地で2点差を追いついたこと、そして、ここまでなかった複数得点を得たこと、仙台のストライカーが今季初得点を得たことなど、収穫があったことは事実だ。この小さな“成功体験”こそが、低迷する仙台になかったもので、横浜の地で得た自身は、間違いなく仙台の今後につながる。