■重要な一戦での”デジャブ”

 仙台は今季ここまでセットプレーでの失点が多く、相手チームに狙われることが多かった。さらに、試合序盤での失点も仙台の課題だ。そのため、セットプレーと立ち上がりの守備が、勝利を得るためには改善が求められるポイントだったのだが、あわや、それをこの重要な一戦で出してしまうところだった。

 しかし、悪癖は結局その15分後に失点に結びつく。瀬古が蹴った右コーナーキックを、袴田に押し込まれてしまうのだ。袴田が押し込む前に、DF伊野波雅彦にフリックされてはいるものの、瀬古から袴田という15分前の“デジャブ”を、そして、今季何度も見せてきた“デジャブ”を、ニッパツのピッチでも繰り返してしまった。

 ただし、セットプレー以外の場面では、決して仙台が悪かったわけではない。手倉森監督が1試合1試合積み上げたものが、攻守両面で徐々に具現化しつつある。そして、この試合では幾度となく相手陣内でボールを奪うことに成功した。特に、相手が低い位置でビルドアップしようとつなぐ場面で、パスコースを限定したり、パスミスを誘って奪う場面が見られた。

 ところが、奪ったボールをなかなか攻撃でうまく生かせないのが、仙台がここまで未勝利たるゆえんでもある。奪ったボールをいい形でシュートに持ち込めない、あるいは、簡単に奪われてしまう。特に左サイドは攻守ともに詰まる場面が多く、ボールを失う場面も左が多かった。

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