■偉大さを際立たせたシーン
フランス代表の同僚、ポール・ポグバからは「肺が15個ある」という賛辞を寄せられたことがあるカンテの本領は、やはり終盤で発揮される。
86分、ルイス・ディアス(75分から登場)が左サイドでドリブルで仕掛けようとしたが、カンテが張り付いてボールを突っついたことで突破を断念し後方のオタヴィオに一旦戻す。そこから中央のファビオ・ヴィエイラ(84分から登場)にパスが渡ったが、カンテはすでに絞ってゴールに直進する道を封鎖しており、センターフォワードのメフディ・タレミへのパスコースが失われたことでボールは仕方なく左サイドバックのザイドゥ・サヌシに渡された。サヌシからサポートに来たヴィエイラに返され、ようやくクロスが放り込まれることになったが、ここでもカンテが目の前のコースにいたことでふわりとしたボールを蹴るしかなくなり、簡単に弾き返されることになった。
途中投入されて2点を目指し積極的に動こうとする攻撃の選手たちに対してカンテ1人で攻撃を遅らせ、理想の形を実現させなかったこのシーンもまた、その偉大さを際立たせるものだった。
最後の最後でタレミに下がりながらのバイシクルシュートというスーパーゴールを決められたチェルシーだったが、手堅く勝ち抜けに成功した。
復調したシウバとカンテが揃えば簡単に失点することはない。
あとは攻撃陣、特にハヴェルツと、この日出番のなかったティモ・ヴェルナーが結果を出してくれれば、準決勝もチェルシーのものになるだろう。チームは完成形に近づきつつある。
■試合結果
チェルシー 0―1 ポルト
(2戦合計2-1でチェルシーが準決勝進出)
■得点
90+2分 メフディ・タレミ(ポルト)