■「ホッとした部分もあります。本当に遅かった」

 そのボールを日本代表MF稲垣祥が回収すると、右サイドを駆け上がった成瀬にパス。成瀬が入れたこのグラウンダーのややマイナスのクロスは、ペナルティエリア中央に向かって一直線に進む。大分のディフェンダーも必死に足を伸ばしてクリアしようとするが及ばず、そこに走りこんでいたのが柿谷だ。

 背番号8は左足でワンタッチ。スピードを殺さず、むしろ、弾丸のように前方に飛び出たボールは、勢いよくゴールネットを揺らしたのだ。相手GKも瞬時にジャンプしてはじき出そうとしたが、それもかなわない速度だった。

 柿谷はそのままサポーター席の前に向かうと、深々と“お辞儀”。試合後、その理由について、ここまでゴールできていなかったことだと明かしている。「ホッとした部分もあります。本当に遅かったなという気持ち」と語ったように、この技巧派にはやはりゴールが似合う。

 ここまで9試合でわずか1失点と、驚異の堅守を保つ名古屋。首位・川崎とは、1試合消化試合が少ないとはいえ勝ち点差が「5」ついている。2012年には11得点、2013年には21得点(いずれも所属はC大阪)を記録している柿谷。堅守の名古屋が優勝を狙うには、柿谷の爆発が欠かせない。このゴールが“ケチャドバ”のきっかけとなるのか、「8」から目が離せない!

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