■「揺るぎない絆」でつかんだ勝利
65分の選手交代も効果的だった。梶川に代わって出場した石浦大雅が、水戸のアンカーの脇でボールを引き出す。前半から繰り出してきた中長距離のパスに加え、本来のショートパスをつなぐサッカーで攻撃のギアを上げていったのだ。
勝敗を分ける2点目は、73分に生まれた。取ったのは東京Vだった。右CKの流れからボールをつなぎ、最後は佐藤凌我が至近距離から蹴り込んだ。チャンスを作っていたなかで取り切った。
その後も選手交代を活用しながら、東京Vはペースを落とさずに試合を進めていく。16歳になったばかりの橋本陸斗が、82分の途中出場後すぐにGKと1対1になる場面もあった。最終盤には古巣対戦となるCBンドカ・ボニフェイスを投入し、リスク管理をさらに強める。東京Vは2対1のまま、終了のホイッスルを聞いたのだった。
チームを救う2ゴールを叩き出した佐藤凌我は、「前節不甲斐ない形で負けてしまったので、この試合は本当に大事になる、とにかく結果が大事になってくる試合だと話していました」と振り返る。永井秀樹監督も、言葉に感情を込めて話した。どちらかと言えば淡々と試合を総括する指揮官も、この試合には特別な思いで臨んでいたことがうかがえた。
「厳しい、苦しい1週間だったんですけど、大敗したからといって選手への信頼が変わるわけではないし、逆に選手が僕を信頼してついてきてくれる。そこの揺るぎない絆というか、それがあったからこそトレーニングから良くやってくれたし、今日の試合でも気持ちの部分も含めて出してくれた」
開幕戦以来の勝利をつかんだ東京Vは、連敗を「2」で止めた。負の連鎖から脱したからこそ、次のレノファ山口FC戦も大切になる。ここから勝点を積み上げていけるチームが、J1昇格へ近づいていくのだ。