逆襲のJ2第6節(1)!屈辱の「0対7」から1週間、絶体絶命を乗り越えた東京V・永井監督の「特別な感情」【戸塚啓のJ2のミカタ】の画像
佐藤凌我(東京ヴェルディ)   写真:森田直樹/アフロスポーツ

■東京Vはクラブワーストの大敗を受けて…

 こんなにも厳しい1週間を過ごしたチームは、J2リーグで東京ヴェルディだけだったはずである。1分でも1秒でも早く、屈辱を晴らしたかったはずだ。

 3月27日に行なわれたJ2第5節で、東京Vはアルビレックス新潟に0対7で大敗した。J1、J2を通じてクラブワーストの失点を喫してしまった。

 4月4日の第6節で同じように大敗したら、チームの根幹が揺らぎかねない。僅差でも負けたら、自信回復とはならない。水戸ホーリーホックをホームに迎える今節は、「絶対に負けられない戦い」と言っていいものだった。

 開始早々にスコアを動かした。2分、梶川諒太の縦パスを佐藤凌我がヘディングで佐藤優平へつなぐと、佐藤優平もヘディングでDFラインの裏へパスを通す。大卒1年目でシーズン初先発の佐藤凌我は、ボールの落ち際を左足ボレーで叩いてゴールネットを揺らした。背番号27をつける22歳のプロ初ゴールが、貴重な先制弾となった。

 しかし、東京Vは試合の流れを掌握しきれない。18分、ロングカウンターから奥田晃也に同点とされる。昨シーズンJ2最多の得点を叩き出し、前節まで新潟に次ぐ得点を記録している水戸の攻撃力に、守備陣を崩されてしまった。

 東京Vと対戦するチームは、東京Vの陣内でショートパスを引っかけ、カウンターへ持ち込むことを狙いとしてくる。それでも自陣からビルドアップしていくのが永井秀樹監督の哲学だが、この日はひとつ先を見通してもいた。ボランチではなくCBで起用された加藤弘堅が、中長距離のパスを両サイドへ配球していったのだ。さらに先制点をあげた佐藤凌我がDFラインの背後を狙い続け、相手守備陣にストレスを与えていく。そうしたなかから、55分、65分と決定的なシーンをつかんだ。

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