■ボランチは人材豊富でも、田中碧にチャンスを
CBは吉田麻也と冨安健洋のコンビで万全だが、実は3番手以降が横一線と言っていい状況だ。モンゴル戦で起用された畠中槙之輔、中谷進之介、あるいは植田直通に加えて、東京五輪世代の板倉滉も候補に入ってくる。板倉はU-24日本代表ではボランチでもプレーしているが、遠藤航、柴崎岳、守田英正、橋本拳人らとの争いに加えるのはもったいない。日本代表全体のポジションバランスを考えると、CBがいいのではないか。
ボランチの競争は激しいものの、田中碧は試してみたい選手だ。過日のU―24アルゼンチン戦のパフォーマンスは、日本代表入りの有資格者であることを示すものだった。東京五輪後すぐに招集しても無理はない。
森保監督の就任当初は中島翔哉、南野拓実、堂安律の3人が起用されていた2列目は現在、南野、伊東純也、鎌田大地が先行する展開となっている。いずれも所属クラブでプレータイムを得ており、東京五輪世代を寄せつけていない。
先のU―24アルゼンチン戦では久保建英と相馬勇紀が好印象を残した一方で、三笘薫、三好康児、食野亮太郎はインパクトを記せなかった。
26日の第1戦に先発した三笘は、得点やアシストといった結果を残すことができなかった。期待が大きかったぶん厳しい評価を下されているが、彼に足りなかったのは外国人DFとマッチアップする経験だ。日本人DFとは違うアプローチに慣れたところで、何ができるのかを見てみたい選手である。今後も追跡するべきなのは間違いない。
アジア最終予選は来年3月末に終了し、同5月と9月のインターナショナルウィンドウを経て、11月のカタールW杯に突入する。言い方を変えれば、最終予選後は5月と9月しか強化ができない。コロナ禍でスケジュールが大幅に書き換えられているのだ。
そう考えると、所属クラブでのレベルアップは不可欠だ。キャプテンの吉田は、「チームとしてもっともっと強い相手と戦って、一進一退のなかで高いパフォーマンスを出す経験を積むのが大事になってきますし、選手各々が自チームでそういった経験をすることも大事だと思います」と話す。
より高いレベルのリーグの、より高いレベルのチームで常時出場機会をつかむ選手が増えることが、コロナ禍のイレギュラーな強化スケジュールではこれまで以上に重要になってくるのだ。