■コイントス式次第のすべて

 さて、試合前、審判団を先頭に両チームが入場し、整列して観客にあいさつ、チームごとの写真撮影が行われ、それが終わると審判団の前に両チームのキャプテンが歩み寄り、握手をかわす(現在はグータッチ)。主審がコインを示し、まずビジターチームのキャプテンに「こちらが出たらあなたの勝ち」と見せ、続いてホームチームのキャプテンに「こちらならあなた」と示す。そして空中に投げ上げ、左手の手のひらで受け止め、すかさず右手で押さえて、それを開くと、裏か表かがわかるという手順である。

 そしてルールにあるように、コイントスに勝ったチームがエンドを取るかキックオフを取るかを決め、エンドならどちらのエンドかをたずねる。トスに負けたチームは、相手がエンドを決めなかった場合にエンドを決める。トスにかかる時間は5秒程度、すべてを決めるまでに10秒もかからない。このセレモニーは、Jリーグだろうと、ワールドカップの決勝だろうと、毎試合、決まり切ったように行われるのである。

 どんな「コイン」を使うのか。小さいものは見にくいのでよくない。日本なら10円玉や100円玉では小さすぎる。せめて500円玉を使いたいところだが、ポケットに入れたままにして試合後に探してみたらなかったというときのショックが大き過ぎるから、やめにしておいたほうがよい。以前は、日本でも多くの主審が外国の硬貨を使っていた。外国には直径3センチにもなる大きなコインがあるので、そうしたものを探して使っていた。

 やがて、国際サッカー連盟(FIFA)がフェアプレーマークなどを入れたトス用のコインをつくり、全世界に配るようになった。日本サッカー協会(JFA)もそれにならって「リスペクト」をモチーフにしたものをつくった。現在ではさまざまなサッカー用具メーカーがそれぞれのデザインのトス用コインをつくっている。表も裏も模様が違うだけで色は同じだった正規のコインとは異なり、最近のものはどちらかに赤や黄色、黒などのはっきりした色が塗られており、見分けやすくなった。

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