■日本人選手が欧州の環境に適応するサポートをする仕組み作り

オリヴェイレンセ社長・山形伸之氏(提供写真)

「立石さんの言葉の意味を、はじめのうちは僕もわかりかねていました。ただ、話を重ねるなかで、ヨーロッパで成功する選手は出てきているけど、その大半が、選手本人の力に頼っていることがわかりました。逆に、サッカー選手としての能力はあるのに、日本とは異なる環境に適応するのが苦手であるために、1年で日本に戻ってきてしまう選手もいますよね。彼らが環境に適応するサポートをする仕組みがあれば、ヨーロッパで成功する選手がもっと増えるだろうと考えました」

――ただ、それまでのサッカー関連企業の社長の座を離れるのには葛藤もあったのでは?

「いえ、僕は指導者でもないし、選手として成功したわけでもない。だから、ビジネス面というか、環境を整備する仕事を残りの人生で取り組めたら、サッカー界に恩返しができると思いました。もちろん当時はFC東京のGMをしていた立石さんの影響が大きかったですが」

――紆余曲折がありながらもDMMがシント=トロイデンを買収したことは知られていますが、そこから現在にいたるまでの過程を教えてください。

「ヨーロッパで買収するクラブの候補としてDMMに提案したのがベルギー、オーストリア、ポルトガルでした。そのなかで、オーナーであるDMMの意向にそってベルギーのクラブの買収に動いた形でした」

――当初からポルトガルのクラブにも興味を持たれていたわけですね?

「18歳から21歳くらいの、いわゆるオリンピック世代がヨーロッパで活躍する環境を作りたいという思いがありました。というのも、オリンピックを目指す代表チームのなかには、Jリーグでもあまり試合に出られていない選手も少なくない。だから、そういう選手が試合に出て、成長していける環境が欲しいと思ったのですが……」

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