■注意すべきは連戦だけではない
今回のアルゼンチン戦が中2日で行なわれると発表されてから、五輪本大会のスケジュールがクローズアップされてきた。グループステージから準々決勝までの4試合は、中2日で消化されていく。準々決勝から準決勝は中3日だが、準決勝から決勝(と3位決定戦)は再び中2日となる。表彰台に立つには、連戦をいかに乗り切るのかが大きなテーマとなる。
東京五輪を戦い抜くうえで、もうひとつ忘れてはいけない要素がある。「暑さ」だ。
今年の夏もここ数年と同じ暑さに見舞われるなら、東京五輪の開催時は真夏日を記録していると予想される。試合は17時以降のキックオフだが、蒸し暑さはしぶとく居座るに違いない。連戦による蓄積疲労に加えて暑さによる消耗をいかに防ぐのかも、重要になってくる。
そのためには、攻撃パターンの幅を持っていたほうがいい。このチームがベースとしているパスサッカーに限らず、カウンターからもセットプレーからも得点できる準備を加速しておきたい。
26日の第1戦で、アルゼンチンはタテパスを効果的に使ってきた。攻守の切り替わりの瞬間にタテを意識することで、日本に守備陣形を整える時間的余裕を与えず、「個」の強みをぶつけてきた。
いいところなく試合を終えたこの日も、前半41分に1本のパスで決定機を作り出している。右サイドバックのエルナン・デラフエンテが、DFラインとGKの間に決定的なパスを通してきたのだ。走り込んだフアン・ブルネッタが触っていれば、アルゼンチンが先行していたと言ってもいいシーンだった。
田中碧から林へつながれた25分のシーンも、1本のパスによる決定機だ。そして、日本が45分にあげた先制点は、センターバック瀬古歩夢のロングパスから林大地が抜け出したものだった。
ロングパスを使った攻撃はシンプルだが効率的であり、相手守備陣にストレスを与えることも可能だ。ショートパスによる崩しを引き立たせる布石にもなる。自分たちが苦しめられた攻撃と、アルゼンチンから得点を奪った攻撃を今後に生かすことで、今回の2試合は大きな意味を持つことになる。