■「ピッチの周囲には何百人もの韓国人兵士たちが……」
——あなたが言った通り、観客席の大半は韓国人サポーターで、映像を見るだけでもプレッシャーを感じるほどでした。あなた自身は、ブラジルでそういうことにも慣れていたかもしれないけど、実際、どうでしたか?
「僕が最大のプレッシャーを感じたのは、ウォーミングアップのためにピッチに入った時だった。ピッチの周囲に、何百人もの韓国人兵士達がいて、僕らはピッチに行くのに、そのど真ん中を通らなければならなかったんだ。
兵士達は、先の尖った銃剣を携えていたし、僕らを見る、その印象が何とも言えなかった。あの銃剣にかかったら、僕らなんかひとたまりもないとか、まぁ、そんなことを考えてしまうほど、プレッシャーが大きかった、というかね。
それに、あの寒さたるや、体感温度はマイナス2度か、そういう感じだった。
でも、ウォーミングアップを始めたら、集中力も高まってきて、兵士達のことを考えることもなくなった。スタンドは満員だったし、サポーターでいっぱいの、その風景が美しかった。
責任があるのは分かっていたから、僕は試合前、カズにこうまで言ったんだ。
“今日、僕らは勝たなければならない。たとえ死んでも、勝利と共にここを出なければ”
(※日本語で)“死んでもいいぞ、でも、勝たなきゃいけないぞ!”って、カズさんに言ったんですよ。
そういうわけで、感情が掻き立てられた。恐怖もあった。もう何が起こるか分からないから。試合が終わった後、兵士達も戻ってきたし、僕らは日本と韓国に存在する、あのライバル意識も分かっていた。昔はそれが非常に強く見られたし、何か危険な感じがしたんだ。それほど、両方にプレッシャーがかかっていたし、両方が勝ちたいと思っていた」