■「やる前から勝てると思ってた。間違いだったけど」
大住「だけど、勝てる試合ではなかったよね?」
後藤「そう。韓国と2戦やったのは、どう考えても勝てる試合じゃなかった。点差はホームゲームもアウェーゲームも1点差なんだけど、もう完璧に負けているわけだ」
大住「技術もスピードも、コンビネーションプレーも。圧倒的に向こうが上だったよね」
―そこまで差がありましたか?
後藤「ちょうど韓国が1983年にプロができて上昇期だった。88年にはソウルオリンピックがあるでしょ、それも含めて韓国は上り調子だった。86年にアジア大会がソウルであって、88年にオリンピックがある」
大住「若いタレントも多かったしね。79年のワールドユースでは韓国はアジア予選を突破して出場して。日本は開催国だったわけだけど、そのころの選手にも本当に良い選手は多かったよね」
―85年は韓国のほうが格上だったという事ですが、いまの状況で例えると、どれほどの差ですか?
大住「いまの日本は、ベルギー相手にあんな試合ができるんだから、ちょっと難しいな」
後藤「1試合でよければ、今の日本にはどことやったって勝てる可能性はあるからね。」
―たとえば、今の日本とブラジルくらいの差がある?
後藤「ブラジルとやると、本当に差を感じるよね。ブラジルは日本への勝ち方を良く知っているから。日本には適当にボールを持たせて攻めさせてから、カウンターで点を取ればいいんだからさ」
大住「本当だよね。ネイマールが絶好調だった時なんか、本当につまらない勝ち方だな、って思ったけどね」
後藤「あのハリルホジッチ監督のときにフランスのリールでやったときだって、前半だけでポコポコって3点取られて、あとは適当にあしらわれたって感じでさ」
―85年のときは、韓国とそれくらいの差がありましたか?
後藤「やる前は勝てるかもしれないって思ってたよ。いろいろと組み合わせの問題はあるけど、当時は強いって印象のあった北朝鮮にすごい試合をして、1勝1引き分けで勝ったわけだし。香港を相手には完璧に勝ったからさ。もしかしたら勝てるかもって思ってたけど、やってみたら、もうそれは甘かった。ごめんなさいって」