3月25日に行われる日本対韓国の親善試合。日本にとって特別な思い入れのある韓国との一戦は、多くの注目と期待を集めている。サッカージャーナリストの大住良之氏と後藤健生氏の2人が、実に54年間にわたる日韓戦観戦の蓄積から、多彩な角度の議論を戦わせる!
■「当時は日本が上と思い込んでたね」
―60年代後半から70年代にかけての、日本と韓国の位置づけは、韓国が上でしたか?
後藤「なんとなく日本が上だと思っていた」
大住「東京オリンピックで日本はベスト8に行ったでしょ。その年の6月にブラジルのパルメイラスが来て……」
後藤「2勝1敗で日本が勝っちゃったんだよね」
大住「韓国はもう追い抜いたっていう雰囲気があった、あの頃は」
後藤「たしかに韓国は、1960年代前半は低迷期だったんだよね。そうしたら、北朝鮮が66年のワールドカップで準々決勝に行っちゃったでしょ、それで韓国が焦って。それで、KCIA(大韓民国中央情報部)のチームを作って、みんなそこに選手を入れて、そういう集中強化を始めたんだよね」
日本が上、っていうのも、実際は日本人が勝手にそう思っているだけで、あの頃も韓国のほうが強かったのは間違いないんだろうな。だって1回も勝てないんだもん。
1959年のローマオリンピックの予選で日本が勝って以来、とにかく引き分けはあるけど、ずっと勝てないんだよね」
―ようやく日本が勝てたのは74年ですか?
後藤「そう。親善試合とかでは勝つんだけど……」
大住「ワールドカップの予選で勝てたのは、93年までないんじゃないかな」
後藤「ドーハ?」
大住「うん」
後藤「だからそれは『35年の恨(ハン)』なんですよ。韓国人が言うところの、『日帝36年の恨』と同じ。1910年の日韓併合から独立を回復するまで、足掛け36年かかった。日本も、ローマオリンピックで勝った1959年からドーハの悲劇の勝利まで35年かかった。つまり『35年の恨』なわけですよ。
大住「公式戦で韓国に勝つっていうのは、ほとんどないんだよね」
後藤「そうそう」