■「チームのために戦うことを学んだ」ヴェルナー
34分、センターサークルからのフリーキックがアトレティコに与えられた。全員が引いて守りを固めたチェルシーに対し、アトレティコは右サイドのキーラン・トリッピアーに展開し、ロングボールをペナルティエリア内に送ろうとした。
キックモーションに入ったトリッピアーに猛然と詰めたティモ・ヴェルナーがスライディングでコースを変えると、ペナルティエリア手前にいたカンテにボールが渡り、そこからハヴェルツ、ヴェルナー、ハキム・ジヤシュと一気にカウンターを成立させてチェルシーにゴールが生まれた。
フランク・ランパード前監督の時から起用され続けてきたヴェルナーは、得点数の少なさから批判を浴びることも多い。今年に入ってからも1ゴールしか記録していないが、それに対して「こういう悪い状況からたくさんのことを学ぶことができるんだ。ゴールだけではなく、チームのために戦うことを学んだよ」と自身で語っていたように、その献身性が大舞台で貴重なゴールをもたらすことになった。
2点が必要になったアトレティコは再び前から奪いにいこうとするが、プレス回避を確実にこなすチェルシーに対してその姿勢を貫き通すことができなくなってしまっていた。自分だけが約束通りに動いていたことに気付いたルイス・スアレスが手を広げてチームメイトに不満を示す場面もあった。