■追加の2点に絡んだ両サイドバック

 63分の追加点も、最終ラインのスイッチオンから始まった。ボールを動かして打開の道を探っていた横浜FCのくさびのパスを、中谷進之介がつぶす。逆に、こぼれ球を縦に打ち込み返したのが吉田だった。前に出た横浜FCの裏を突いた反撃から、最後はマテウスが押し込んで突き放した。

 過密日程になった昨シーズン、吉田は左サイドバックのポジションをほぼ譲らなかった。このオフに退団したオ・ジェソクと同様に、新加入の森下龍矢も左右のサイドバックをこなせるが、吉田は定位置に立ち続ける。

 一方、右サイドバックには新たな競争が生じている。昨季は負傷などに泣いた宮原和也が、成瀬竣平と改めてポジション争いを繰り広げている。

 ダメ押しの終盤3点目を導いたのは、宮原だ。右サイドで一気に加速してボールを呼び込み、山﨑凌吾が押し込むプレーの起点となったのだ。この試合の1点目も、ずれはしたものの、吉田が強気に打ち込んだ縦パスから始まっている。派手な動きを見せるわけではないサイドバックは、しっかりとチームを勝利へ導いていたのだ。

 マッシモ・フィッカデンティ監督は、我慢の前半を乗り越えて「後半になってスピードに乗ってプレーする形になった」と試合を振り返った。我慢を続けたサイドバックが、前半の「緩」に「急」を打ち込んだのだ。

 次節の相手は、J屈指の名門である鹿島アントラーズ。今の名古屋の力を測るのに、これ以上ない相手である。

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