【明治安田J1リーグ 第5節 名古屋グランパスvs横浜FC 2021年3月17日 19:00キックオフ】
試合開始の半日前、UEFAチャンピオンズリーグ8強入りを決めたマンチェスター・シティのジョアン・カンセロのように、サイドから中央へ絞ってボランチ然と振る舞うわけではない。高い位置を取って、危険性を漂わせるわけでもない。だが、名古屋グランパスのサイドバックは、しっかりとクラブ新記録となる開幕5連勝の礎となった。
前半の45分間、試合の流れは停滞していた。4-4-2のフォーメーションで3つのラインを敷いてブロックを築く横浜FCは、ひたすたに名古屋グランパスのミスを待っていた。圧倒的にボールを保持する名古屋も、焦れることなくプレーを展開した。いわゆるハーフスペースに入った相馬勇紀が前を向いて仕掛ける場面はあったが、双方にとって我慢の時間が続く前半だったと言っていい。
そんな試合が、後半に動いた。52分のことである。つなぎに守備にと攻守に実直なプレーを続けていた吉田豊がはじけた。速攻に移ろうとした横浜FCの斜めのパスに、最終ラインから飛び出したのだ。ためていたエネルギーを爆ぜるようにエリア内まで突進して、クロス。逆サイドから同じく長い距離を走ってきた前田直輝が押し込み、名古屋が先制に成功した。