■トルエーラ柏が臨む入れ替え戦が急遽中止に
こうして、“絶対王者”の名古屋オーシャンズが優勝を決め、Fリーグは無風のままに終了した。ところが、その後2月28日にサプライズが起こった。第26回全日本フットサル選手権の準々決勝で名古屋オーシャンズが敗れたのだ。
名古屋を破ったのはトルエーラ柏。Fリーグのディビジョン2(F2=6チーム参加)を10戦全勝で制したチームである。
トルエーラ柏の話題は、フットサルを専門に取材している人から聞いていた。
「資金力があり、将来は名古屋オーシャンズに対抗できるチームになるだろう」というのだ。だから、「名古屋オーシャンズ敗れる」というニュースを聞いた時、「ほうっ、もう“その日”が来たのか」と僕は思った。
そして、トルエーラ柏はその後、3月6日の準決勝ではディビジョン1(F1)準優勝のバサジィ大分、7日の決勝戦では6位のフウガドールすみだを破って、全日本選手権初優勝に輝くことになった。
さらに、全日本選手権決勝の翌週には「1部・2部入れ替え戦」が予定されていた。トルエーラ柏が、そこでF1最下位のボアルース長野に勝ってディビジョン1に加わったら、もしかしたら来シーズンはリーグ戦でも名古屋を脅かす存在になるのではないかという期待もあった。もちろん、トルエーラ柏の選手たちにとっては、1年間の目標がこの入れ替え戦、つまりF1昇格だったはずだ。
ところが、全日本選手権決勝があったその日に開かれたFリーグ理事会で次のような決定が行われたのだ。3月9日付けで発表されたFリーグの「お知らせ」を引用しよう。
「日本フットサルリーグ(以下、Fリーグ)は、3月7日(日)に開催した一般財団法人日本フットサル連盟の理事会において、トルエーラ柏の2021年度のライセンスについて、Fリーグが定めるF1ライセンスの競技基準を満たしていない事からF2ライセンスを交付することが決定しましたので、お知らせ致します」
つまり、トルエーラ柏にはF1ライセンスが与えられなかったのだ。
Fリーグの規約によると、F2優勝チームがF1ライセンスを持っていなくても、入れ替え戦は実施することになっているので(これ自体、おかしな規約だ)、入れ替え戦は実施されることになったが、トルエーラ柏が勝ったとしても昇格は認められないわけである。
その後、トルエーラ柏側から入れ替え戦出場辞退の申し入れがあり、入れ替え戦は急遽中止となった(当然の反応だろう)。
問題なのは、F1ライセンスが与えられなかった理由である。前述の「お知らせ」には「競技基準を満たしていない事」とあるが、「競技基準」というのが具体的に何を指しているのか、何が足りなかったのかが、公表されていないし、今のところ(3月15日現在)何の説明もないのだ。