■だが大久保は平然とピッチに立っていた

 この試合は後半16分に高木俊幸と交代。「60分間」というのは、試合前からのプランのようでもあり、彼のような「ベテラン」を使うときの「定石」でもある。この交代時間を見て、クルピ監督はこのように大久保を使っていくのかと考えた。当然、「連戦」での出場は避け、週1試合程度の起用を続けるのではないかと思ったのだ。

 だがそんな「常識」がこの型破りなストライカーにはまったく通用しないことを、4日後の3月3日、等々力競技場での川崎フロンターレ戦で思い知らされた。第11節の試合。C大阪も川崎も4月下旬からのAFCチャンピオンズリーグ・グループステージ(集中開催、会場未定)に出場するため、4月24、25日の週末に行われるべき試合を前倒ししてこの水曜日にもってきたのだ。

 だが当然、大久保は遠征に帯同されないか、少なくともベンチからのスタートになるだろうと、私は予想していた。しかし大久保は平然とピッチに立っていた。クルピ監督としては、柏戦で先発した前線4人のうち奧埜と豊川雄太がケガで使えないため、仕方なく大久保を先発させたという面もあったかもしれない。大久保自身、開幕戦で左足首を痛めており、前日まで痛みがあったという。

 だが大久保は自分にとって「3年連続得点王」というキャリアの輝かしいピークの地である等々力で、再び、誰よりも、この日昨年度の年間最優秀選手賞の表彰を受けた川崎の若きエース三笘薫よりも輝くのである。

※第2回につづく

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