ついに幕を開けた2021シーズンのJ1リーグ。大住良之と後藤健生、2人のジャーナリストが今季の展望、各チームのみどころを徹底的に討論。開幕節の深夜にかわされた熱い議論の行方はーー。
■「負けたけどシュートが多いのはよかったね」
―さて、いよいよ広島と仙台かと思いますが。
大住「ぼくイチオシのサンフレッチェ広島ね」
後藤「是非、大住さんに語ってもらいましょう」
大住「やっぱり仙台のシマオ・マテが退場になったことが痛かったんじゃないの?あれでもうべガルタ仙台の貝の殻を閉じてしまったという感じだよね。それで難しい試合になって、最後の最後に点を取られて。難しい試合だったとしても1対0で終わらなければいけないところだった」
後藤「仙台もゴールキーパーのヤクブ・スウォビィクがいるんだから。守りを固めたら強いよね」
大住「あのキーパーはすごいね」
後藤「今日だって、キーパーが頑張ったから1対1になったのであって。3点、4点を取られても仕方ないような試合だもんね」
大住「ジュニオール・サントスはやっぱりすごい。あの前に進む力と、シュートまで持っていく力」
後藤「シマオ・マテだって届くと思ってタックルをかけたんだろうけどね。あのスピードで遅れちゃったもんね」
大住「それに倒れないしね。点を取った時以外にも、最後のほうにずいぶんとチャンスはあったし」
―良い選手を取りましたね。
大住「そうね。マリノスはなぜ確保できなかったのかね。すごく真面目な選手なんだって。去年、マリノスでACLのメンバーに入れないって分かっていても、練習では全然力を抜かずに、ずっと一生懸命やってたらしいよ。
シーズンの真ん中で、柏レイソルからマリノスに移って、あれだけプレーができるんだから、それはすごい能力だよ」
―大住さんはシーズン予想でサンフレッチェ広島を優勝候補にしています。
大住「サンフレッチェ広島の浅野雄也、森島司は、それこそ川崎の若い選手たちに対抗できる日本の次代の才能だと思うんだよね。森島もすごいスケールだし、浅野もスピードも技術も持っているし。それを職人の川辺駿と青山敏弘が支えるんだから。けっこう良いんじゃないのって。だから、このメンバーが崩れた時に広島はつらいんだよね。ケガ人が何人も出ると」
後藤「去年から広島は、良い時に非常に良い内容の試合をしている。観に行って楽しいのは間違いない。チームとしてもまとまっているし、個人個人も特徴があるし。シーズンを通して勝ちきれるかと言われると……」
大住「それは簡単ではないですよ」