■用意されたビルドアップの形
だからこそ、今年に懸ける思いの強さを感じさせたし、その開幕戦が持つ意味は重かった。その相手が、長谷川健太監督体制4年目ですでにスタイルを確立しているFC東京であることは、少し不運にも思われた。しかし、それを見事に跳ね返した。
FC東京との相性は、本来、悪くはない。リーグ戦の通算成績は20勝9分9敗で、63得点44失点。ただし、この2シーズンはチーム成績の低迷に合わせるかのように、青赤のチームに勝てていない。昨年は2戦2敗で、いずれも完封負け。2019年は負けこそしなかったものの、2戦2分。FC東京を開幕で破れば、この2シーズンを打破するいい幸先になるのだ。
結果から言えばFC東京を破ることはできなかったが、冒頭のリカルド・ロドリゲス監督のコメントが表すように、ピッチの上で表現したものは十分に及第点だった。低い位置からビルドアップを試み、サイドや中央で短いパスをつないで高い位置まで保持する。昨季は最終ラインからボールを1列上げるのに苦労していたが、阿部勇樹がセンターバックの間に下りてきて受けるなど、相手のプレッシングによって選択肢を事前にいくつか用意していた。