■あまりにもあからさまなのに誰も予想していないゴール
しかし33分、南野はチェルシー相手にゴールを奪ってみせた。1トップであるかのように中央を上がると、堂々とパスを要求した。あまりにもあからさまな動きだったが、なぜかそのままフリーでボールを受けることができた。ワンタッチで前に進む十八番のプレーで一気にゴールに迫り、シュートフェイントでGKとDFを完全に翻弄してからネットを揺らした。
堂々と中央を上がっても、パスを要求しても、南野のことをチェルシーの選手たちは誰も気にしていなかった。サウサンプトンからすればいとも簡単に決まったゴール、チェルシーからすればあまりにも呆気なく奪われたゴールになった。
なぜチェルシーの選手は誰も南野を気にしていなかったのか。それは、そこまでの南野の印象のせいだ。
ボールの位置でわかりやすくポジションが決まっていて、約束事を律儀にこなし続け、チームメイトのために自己犠牲をする選手。
だから、イレギュラーな動きをしていることを見逃してしまった。だから、急に主役の座に躍り出たことに気づかなかった。この選手がそんなことをするわけがないからだ。