■注目選手(1) MF:矢島慎也

 山本悠樹奥野耕平が台頭したセントラルミッドフィルダーにおいて、彼らより前にポスト遠藤として期待されたのが矢島だった。

 2012年に浦和レッズでキャリアをスタートさせた時から、矢島はその才能を常に期待されてきた。毎年レギュラー候補に名が挙がり、矢島がハマれば強いチームになる、と言われることも多かった。しかし、フル稼働したのはJ2のファジアーノ岡山に武者修行に出た時だけだった。

 ガンバに移籍した2018年も、やはり期待されながらも定位置を掴むことができなかった。U23チームでプレーするようになり、夏にはベガルタ仙台に期限付き移籍で活躍の場を求めた。仙台ではすぐに先発で起用されたが、怪我で長期離脱をしてしまい、満足にプレー時間を得られままシーズンを終えてしまった。

 2019年、5月18日の大阪ダービーで遠藤に代わって3バックの前のポジションを任されると、持ち味である3列目からのゲームメイクでチームに安定感をもたらした。これによって矢島はようやくポジションを獲得し、J1でキャリア最多の20試合に先発出場を果たした。それまで、2017年に浦和で7試合に先発したことが最多だった矢島にとって、ようやく主力として戦ったと言えるシーズンになった。

 そして2020年、ついに矢島がチームの主役になる時がやってきた、はずだった。ところが、怪我で離脱をすると、その間に山本悠樹が一気にポジションを獲得した。遠藤がチームを離れても、今度は奥野耕平が台頭、矢島は2019年よりも少ない18試合の先発にとどまった。
このまま終わるわけにはいかない。

 ようやく確保しかけた主力の椅子、そして見えていた主役の座、それを再び追い求める様子を見逃したくない。

矢島慎也選手 撮影/原壮史
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