名前から女性だということは分かりましたが、若い女性なのか、オバサンなのか、黒人なのか、白人なのかも分かりませんでした。しかし、とにかく計算も正確でしたし、簡潔なやり取りでこちらの要求をすぐに理解して予約の変更をしてくれたので、「とても頭の良い女性なんだろうな」と想像していました。

 さて、現地に入ると、「大木旅館」は郊外の緑に囲まれたところで、毎日の生活はとても快適でしたし(電力不足で寒かったのは問題でしたが)、オーナーの白人一家もその飼い犬もとてもフレンドリーでした。自動車3台を使っての移動もスムースでしたし、ダーバンからの帰りにはドランケンスバーグ(龍の山)山地の雄大な景色の中でマス料理をいただいたりと素晴らしい時間を過ごしました。

 ただ、「トリフィーナは旅館から離れた場所のオフィスにいるのでここには来ない」と言われたのは残念でした。どんな女性か、ぜひ会ってみたかったのに……。

 そう思っていると、滞在も残り少なくなったころ、トリフィーナがわざわざ訪ねて来てくれました。部屋の前に立っていたのは、小柄な黒人で、クリッとした眼の愛らしい女性でした。

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