■山口は”夏の補強の先取り”か?

 今シーズンの開幕にはケガで間に合わないが、それでも期待を寄せられる選手がいる。昨季のJ2で得点ランキング4位の15ゴールを決めた、松本山雅FC山口一真だ。

 鹿島アントラーズから水戸ホーリーホックへ期限付き移籍した昨季、プロ3年目のアタッカーは一気に覚醒した。「(J1の鹿島から)カテゴリーを落としたのだから、結果を残さないといけない」という決意を胸に、チームの得点源となったのだ。試合を重ねるごとに力強さと逞しさを増していき、持ち前の決定力がさらに生かされるようになっていった。右足のシュートは正確で、水戸ではリスタートのキッカーも務めていた。

 最前線でも2列目でもプレーできることから、松本でも定位置をつかむ可能性は高い。ただし、ピッチに立つのはしばらく先になる。昨年11月末に左膝に大ケガを負ったからだ。復帰時期は明確になっていないが、松本にとっては潜在能力を評価した先行投資であり、「夏の補強の先取り」といったような意味合いと理解できる。

 昨季途中に就任した柴田峡監督のもとでJ1昇格争いに加わり、スパートをかけたいタイミングでこの25歳が合流してくる──そんなストーリーが描かれれば、松本のJ1復帰が見えてくる。

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