■注目選手① MF:橘田健人(横浜桐蔭大学から加入)

 中村憲剛の引退と守田英正の海外移籍によって層が薄くなった中盤には、名古屋グランパスからジョアン・シミッチ大分トリニータから小塚和季、松本山雅から塚川孝輝をそれぞれ獲得した。いずれも川崎のサッカーで良さを発揮することが容易に想像できる選手だ。昨年と同じ4-3-3ならば、順当にいけば大島と田中は当確で、あと1枠を実力者が争うことになる。そこに割って入るのが大卒ルーキーの橘田だ。

 中村も守田も大卒でルーキーイヤーから活躍してきた。昨年ブレイクした三笘も大卒ルーキーだ。小林、谷口、車屋紳太郎脇坂泰斗長谷川竜也、旗手玲央ら、川崎は大卒の選手が多く活躍してきた。

 橘田は視野が広いボランチだ。長短のパスでボールを動かし、セットプレーのキッカーも務める。パスのみならず、ドリブルも得意だ。抜けるタイミングがあれば勝負する。これだけで、中村のことを連想する人は少なくないだろう。

 それだけではない。昨年、フロンターレのキャンプに参加した橘田は中村と同部屋で過ごし、助言も受けた。そのエピソードは既にサポーターの間で広く知られており、プレーだけでなくその部分でも中村の後継者という目で見られることが多い。

 ルーキーに過剰な注目が集まるのは負担になってしまうこともあるが、ファンとの接触機会がなくなっている現在の状況はそこを楽にさせる。加えて、今年も三笘や田中に注目が集まることは確実で、橘田が視線を一身に集めるようなことにはならない。助言をくれた中村もFROという新役職でチームにとどまり、小林や谷口も見守ってくれる。

 ACLも戦う今年は試合数が多く、出番は間違いなく与えられる。川崎の歴史に加わる環境は十分に整っている。

橘田健人選手 撮影/原壮史
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