■貴重な医療資源を割くべきなのか

 現在、日本はすべての国からの外国人の入国を禁止している状態だ。日本人や在留資格のある外国人は入国できるが、入国後は自主隔離を要請される。

 スポーツ界でも、Jリーグやプロ野球、Bリーグ、あるいはオリンピック競技で外国人選手や外国人指導者が入国できずに問題になっている。

 J1リーグに昇格した徳島ヴォルティスは、リカルド・ロドリゲス監督が浦和レッズに引き抜かれたため、同じスペイン出身のダニエル・ポヤトス監督と契約したが、新監督は未だに来日できず、現在の状況が続けば監督不在のまま開幕を迎えることになりそうだ。

 しかし、東京大会を予定通りに開催すれば選手だけでも1万人以上の外国人が入国することになるのだ。その時期に、まだ感染が収束していない国や地域は多数にのぼるだろう。

 それとも、政府や組織委員会は感染が拡大している国や地域の選手団を除外するつもりなのだろうか?

 しかし、世界で感染者数の最も多いのはアメリカ合衆国だ。

 アメリカ抜きのオリンピックは考えられないことだ。オリンピックというのはアメリカのテレビ・マネーによって成り立っているイベントなのだ。IOC(国際オリンピック委員会)が開催に固執するのも、それが組織にとっての最大の資金源となっているからだ。だから、アメリカだけははずせない。

 しかし、選手団だけであれば、事前のワクチン接種を入国の条件とするとか、徹底した検疫を行うとか、日本滞在中も選手村からの外出を一切禁止するなど完全なコントロールは可能だろう。だが、観客や報道陣の場合、彼らの行動を制限することは難しい。外国からの観客を迎えることは不可能だし、無観客か入場者数の制限は不可避であろう。

 そして、東京大会開催のためには医師、看護師等医療関係者を多数動員する必要がある。

 もともと熱中症対策だけでも大規模な医療体制が必要だったところに、新型コロナウイルス感染症関係の負担がのしかかるのだ。

 医療体制が逼迫する中で、東京大会開催のために社会的に貴重な医療資源を割くことが社会的正義であるとは思えない。

 総合的・俯瞰的に考えて、東京大会開催は難しいのではないのだろうか。

※第2回に続く

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