危ぶまれる東京五輪(1)森喜朗組織委会長の止まらない失言の画像
森喜朗 東京五輪組織委員会会長 写真:代表撮影/ロイター/アフロ

誰が「中止」「再延期」を言い出すのか。東京オリンピックパラリンピックの通常開催は不可能であり、無観客であっても開催が難しそうだということは、スポーツ関係者も政府関係者も当然分かっているはずだ。ところが組織委員会の森喜朗会長は先日、「どんな形になろうと、必ずやる」と明言した。政府からもスポーツ界からも異議は出されていない——。

■森喜朗会長の繰り返される失言

 東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会の森喜朗会長の2月3日の発言が物議を醸しているいる。

「女性がたくさん入っている理事会は時間がかかります」という女性の社会参画を真っ向から否定する内容の発言で、「女性蔑視ではないか」と問題になり、翌日になって森会長は謝罪会見を開いて発言撤回したものの、その謝罪ぶりがまた「逆切れだ」などと批判を浴びて、火に油を注ぐ結果になってしまった。

 発言の内容は、まあ言語道断ではあるとしても取るに足らぬ内容だ。

 もともと、森喜朗という人物は「日本は天皇を中心とした神の国である」という、いわゆる「神の国発言」など失言を繰り返して首相を退いた人であり、「失言王」と呼ばれている。「神の国」発言は神道政治連盟の会合でなされたもので、保守政治家にありがちな「サービス精神」によるものだ。ついつい、目の前にいる人にウケる発言をしてしまうのだ。

 まあ、あれだけ失言を叩かれ続けながら今もってそれを繰り返してしまうのだから、学習能力が足りないと言うべきか、確信犯的と言うべきなのか……。

 今回の発言の内容については、このコラムでは取り沙汰しないが、「公職にある人間は差別から公正中立的表現をしなければならない」という、いわゆる「ポリティカル・コレクトネス」には明らかに反する発言だ。もう少し分かりやすく言えば、「思っていても言ってはいけないこと」である。そんな発言をしても平気なのは(?)ドナルド・トランプだけだ。

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