■欧州リーグで続くメガクラブのタイトル独占

 ヨーロッパの各国リーグでは、「自由競争」が進んだ結果、一部のメガクラブがタイトルを独占するような状況が生まれている。

 たとえば、スペインのラ・リーガのタイトルはレアル・マドリードとバルセロナの独占状態にある。2001年以降だけを見れば、バレンシアが2度、アトレティコ・マドリードが1度優勝しただけで、他のシーズンは2クラブがタイトルを独占している。ドイツのブンデスリーガではバイエルン・ミュンヘンが8連覇中であり、1963年創設と比較的歴史の浅いブンデスリーガで、バイエルンの優勝回数は30回にものぼる。さらに、フランスのリーグ・アンでも過去8年のうち、モナコが優勝した2016/17年シーズンを除いてパリ・サンジェルマンが7度も優勝を飾っており、イタリアのセリエAではユベントスが9連覇中だ。

 今シーズンは、各リーグともやや様相が変わっているようだが、いずれにしても21世紀に入ってからは各国リーグでメガクラブによるタイトル独占という状況が続いている。

 放映権料として莫大な金額がサッカークラブに流入し、さらにアラブ諸国のオイルマネーなど新興国からの資金が投じられ、クラブの経営規模は急拡大した。しかも、外国人枠は撤廃された。

 その結果、メガクラブは世界のトップクラスの選手をそろえた「世界選抜」的なチームを編成できるようになったのだ。Jリーグ程度の経営規模であれば、財政力の格差を現場での努力によって覆すことも可能だが、ヨーロッパのメガクラブほど巨額な強化費を使えるとなると、他のクラブがこれを覆すことは不可能になる。

※第3回に続く

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