メガクラブが巨体を揺らして闊歩する。それが世界のサッカーの趨勢だろう。欧州の強豪リーグは盟主ともいえる一部のクラブがタイトルを独占し、財力に劣るクラブは後塵を拝するばかり。ひるがえって、Jリーグでも序列化が進み、優勝の可能性は数クラブに限られてきた。これらの現象をどう見ればいいのか。その論考は、Jリーグ、大相撲にはじまって、プロ野球からアメリカン・スポーツ、さらに欧州のサッカーリーグと、縦横無尽に駆け巡る。
■ 「新シーズンの順位予想」
先日、2021年のJリーグの日程も発表され、各クラブの新シーズンに向けての陣容も固まってきている。そろそろ、あちこちのメディアから「新シーズンの順位予想」という原稿の依頼が舞い込んでくることだろう……。
僕は、今シーズンも川崎フロンターレの優位は揺るがないと考えている。懸念材料があるとすればACLの負担くらいなものだが、ACLの日程がまだ決まっていないので現時点での予想は非常に難しい。
いずれにしても、もし川崎が今シーズンも優勝すれば「5年間で4度目」の優勝ということになり、森保一監督時代のサンフレッチェ広島を超えることになる。川崎はまさに“横綱的”な存在ということになる。
“横綱”と言えば、大相撲である。
東京両国の国技館で開かれていた大相撲一月場所(初場所)では、西前頭筆頭の大栄翔が13勝2敗という成績で幕内最高優勝を飾った。いわゆる「平幕優勝」である。
たとえば白鵬のような絶対的な強者が君臨していたり、強い大関が複数人いる時代には平幕優勝はきわめて難しいことだが、現在は両横綱とも相撲人生の晩年に差し掛かり、最近は休場が続いている。そして、大関陣もきわめて不安定な状態が続く。そんな状況だから、好調な平幕力士が一気に突っ走って優勝を飾ることが多くなっているのだ。大相撲の歴史を紐解いても、そうした“端境期”には平幕優勝が多いようだ。
2018年の一月場所で栃ノ心が優勝したのを皮切りに、2019年五月場所では朝乃山が優勝。さらに2020年には一月場所と七月場所で、それぞれ徳勝龍と照ノ富士が平幕優勝を飾っている。とくに、2020年の2人は前頭17枚目、つまり「幕尻」(幕内の最下位)の力士による優勝だった。