■実は守備の意識は高いスアレス

 その主役はやはり、スアレスだ。隙を見せない守備、というチーム全体の姿勢の中で、唯一守備に参加をしないスアレスだが、守備に対する意識が低い、という言葉は似合わない。この試合での2点は、どちらもチームとしての攻撃ではなく、守備の場面から急にやってきたボールからだった。それまでの試合の流れを無視した唐突なゴールが生まれるのは、絶えずゴールを狙っているスアレスの意識の高さだ。

 狡猾さや、ゴールへの嗅覚、と言われることのあるそれは、味方の守備の動きを理解し、注視し、常に予測をしているからこそ出来る反応だ。そういう点で“守備をしないスアレス”の守備に対する意識は高い。それはゴールを狙う意識の高さとイコールだ。そしてそれが、アトレティコというチームとスアレスの親和性が高い理由だと言える。チーム全体で常に守備意識が高いことで、スアレスの絶え間ない予測が実を結ぶ場面が増える。

 苦しい試合をものにし、首位としての地位を固めたアトレティコ。これで2位のレアル・マドリードと7ポイント差、3位のバルセロナとは10ポイント差になった。しかも、アトレティコはまだ1試合未消化。2013-14シーズン以来のリーグ戦王者への視界は良好だ。


■試合結果

エイバル 1ー2 アトレティコ・マドリード

■得点

12分 マルコ・ドミトロヴィッチ(エイバル)
40分 ルイス・スアレス(アトレティコ・マドリード)
89分 ルイス・スアレス(アトレティコ・マドリード)

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  4. 4