■遅攻の上手さはなりを潜めたが……

 後半のアトレティコは、ジョアン・フェリックスを投入して、攻め方を修正した。フェリックスは前線から中盤のスペースを埋める動きでボールを引き出す役割を果たし、コケがいないことをサウール・ニゲスと2人で補おうとした。ボールは回るようになったが、エイバルは集中した守りでゴールまでは繋がせなかった。

 引き分けが妥当で濃厚、と思えた87分、エイバル陣内でのヘディングの応酬からカラスコが大きく蹴り出すと、最終ラインとの競争に勝ったスアレスがペナルティエリア内で倒されてPKを獲得。自身がパネンカで決めて逆転に成功した。

 堅守速攻だけでなく、遅攻の上手さで今シーズンは首位に立っているアトレティコだが、この試合ではそういう強さを見せることはなかった。しかし、そういう試合でも勝ってみせることで、上手さとしての強さではなく、勝負事での強さを感じさせた。

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