それでも、多くの選手を育て上げてきた。若手選手に賭ける勇気を持った指揮官で、ブスケッツ、ペドロ・ロドリゲス、ジョスア・キミッヒ、フィル・フォデンをトップレベルに引き上げた。彼らもまた、メッシのようにグアルディオラに出会わなければ異なるキャリアを歩んでいただろう。
そう、グアルディオラの頭の中はフットボールに支配されているのだ。時に、それは人間関係を破壊してしまう。
ある日、アシスタントコーチのドメネク・トレントがグアルディオラと一緒にサウナに入った。フットボールに関する議論が白熱して、なかなかサウナから出られず、最終的にはドメネクが気絶寸前になったという。
また、グアルディオラは音楽をこよなく愛する監督だ。オアシス、マネル、カーラ・ブルーニが彼のお気に入りである。2008-09シーズン、コールドプレイの『ビバ・ラ・ビダ』をロッカールームで度々流していたのは有名な話だ。
その音楽に照らし合わせていえば、グアルディオラは決して満足しない指揮者だと言えるだろうか。以前、アシスタントコーチのロレンソ・ブエナベントゥーラが「オペラを奏で、演奏が終わった後、ホール全体に拍手が響き渡る。そのなかで、ひとり、後半部分のミスを惜しんでいる。グアルディオラはそういう人だ」と語っていた。
バルセロナを離れてから、グアルディオラはビッグイヤーを獲得できていない。再び、彼のチームが欧州のトップに立った時、グアルディオラの振るうタクトで世界が動くかも知れない。