過渡期にあるバルセロナは、世代交代をしながら勝つためにロナルド・クーマン監督を招聘した。その前の、メッシとルイス・スアレスを最大限に活かせる4-4-2のカウンターサッカーの時点でバルセロナらしさはなくなっていたが、メッシ=バルセロナ、ということがそれを気にさせなかった。今年のサッカーはますますバルセロナ成分がなくなっていることに加え、この試合ではメッシが不在だったことで違和感がどんどん大きくなっていった。
ヨハン・クライフの下、どの年代のチームも一貫して4-3-3を採用するようにしてチームを作ってきたことで時代を築いたバルセロナは、様々なスター選手を獲得してもそのスタイルに当てはめてきた。ズラタン・イブラヒモヴィッチやティエリ・アンリらも例外ではなく、力を最大限に発揮できずにチームを去る選手も多かった。
ところが、その伝統を壊しにきた。これは新しい時代を築くための改革なのか、それとも迷走なのか。伝統は足かせにもなるが、困った時に回帰できるものでもある。そして、下部組織の選手たちもまた、困った時に回帰できるバルセロナの強みだ。
この試合で先発した中で、ラ・マシア出身者はセンターバックのオスカル・ミンゲサのみだった。
スタンドから観戦していたメッシは、どういう気持ちでこの歯痒い試合を見ていたのだろうか。
■試合結果
バルセロナ 1ー1 エイバル
■得点
57分 キケ・ガルシア
67分 ウスマン・デンベレ